住宅・店舗・設計施工 有限会社空間工房

気ままにコラム

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09/04/24

家に刻む「記憶と時間」

 「柱のキズはおととしの~♪」…と、小学校唱歌。そういえば僕も子供の頃、父と母が僕の身長を柱に書いていたよなぁ。引いた線の横に年と月が書いてあったけど、中学生になってそれを見ると、とっても恥ずかしかった記憶がある。
 
 「トイレのタイルをキレイにする。」と、経験も無い父が見よう見真似で張ったタイルは、お世辞にもキレイとは言えない仕上がりだった。最初の計画では、その日のうちにトイレを使えるようになるはずだったが、数日間使えない状態が続いた。。。
 
   家には、家族の思い出が記憶され、歴史が刻まれるのだ。
 
 家族との楽しかった思い出や、時にはケンカした記憶。家族が成長すると共に、家も成長するのだ。僕が住んでたその家は取り壊してしまったので、すでに無い。新築と同時に取り壊しだったら、線と日付が書かれた柱を、家のどこかに使ったかもしれない。
  
 
 「ウチ、もう古いし、改築した方がいいかな?それともリフォーム?」たまにそんなことを訊かれるが、僕には模範解答は出来ない。耐震性能や断熱性能などの技術者としてのアドバイスはできるが、肝心なのは住む人の価値観だ。
 
 
 新築する人、リフォームする人、理由は様々ではあるが、新築する人はこれから始まる家族の歴史を家に刻んでいって欲しいし、リフォームする人は、刻まれた歴史を感じながら、さらに新しい歴史を刻んで欲しい。
 
 住宅性能だけでは語れない「記憶と時間」。それを考えながら家を創ると、とてもあったかい家になりそうである。。。
 
 
 ニュースレター「いま~じゅが~でん」2008年3月号より  本郷孝司

09/04/09

器の大きさより中身が大切!

 以前、京都に住む知人を訪ねた。
 
 「思い切って家を建てた!いつでも遊びに来いや。」と声を掛けられ本当におじゃました。…彼は社交辞令で言ったつもりだったのかもしれないが。。。
 
 詳しく場所を聞くと金閣寺のスグ近くということでそこまで迎えに来てもらい案内された新居だったが…ハッキリ言ってカルチャーショックを受けた。
 
 スシ詰めのように隣地が迫り、あきらかに土地も小さい。車を一台停めたらスグ横に狭そうに玄関ドアがある。間口の代わりに奥行きが長いのかと思ったが結構短い。辺りを見回すと、彼の家と似たような3階建てのコンパクトな新しい家がズラッと並んでいる新興住宅地だ。
 
   「おじゃまします。」と家に上がるとやはりコンパクトだ。一階はトイレと風呂などの水廻りがあり、リビングは2階だと案内された。階段を昇ってドアを開けるとそこがLDKだ。またコンパクトさに驚く。3階は寝室だと話す彼。ものすごく思い切ったと聞いていたので、僕のイメージではスゴくでっかい3階建ての家を想像していた。
 
 僕の驚いた表情を悟ったのか、「狭いやろ~?富山って土地いくらぐらいなん?」あっ!土地の値段が高いんだ!…思い込みとはコワいモノである。そう言われてやっと気付いた鈍感な僕デス。
 「高いトコで坪14~15万ぐらいかなぁ。ちょっと郊外行けば10万切るトコもあるよ。」彼は奥さんと顔を見合わせとても驚いていた。聞くと彼のお宅は敷地が20坪ほどで1.600万円だそうだ。坪単価80万!家が30坪ちょっとで1.800万円、合わせて3.400万円という値段である。
 
 富山で彼の家と同じ予算で土地を買うと、土地が坪単価10万円だと仮定すれば160坪。8倍の広さの土地が購入できる。そして住宅地として50坪から70坪が平均的であることを話すと更に驚いていた。
 
 「うらやましいなぁ~。でもこっちはコレでフツーやで。富山で建てれば良かったかも。なぁ。」
 「そやなぁ~。」…とっても幸せそうに微笑み合っていた。
 
   家は、家族が幸せを育み、そして積み重ねて行く器。器の大きさではなく中身である。幸せが詰まっていれば大小は関係無いのだ。
 
 
 ニュースレター「いま~じゅが~でん」2009年4月号より   本郷孝司
 

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